カオスは、もともとギリシャ語を語源としています。英語では「chaos」と記述し、辞典には「混沌」と訳されていますが、科学技術の分野では Deterministic Chaos、つまり、「一見無秩序に見えるが背後に無数の秩序構造を持つもの」という力学の現象を表します。
たとえば、流れの乱れ、リズムを刻む化学反応や神経応答の時間波形は非常に複雑に見えますが、その背後に決定理論的な法則を持つことがわかってきました。従来の物の考え方というのは、制御や予測が可能なもの以外は、混沌や無秩序の中にあるという単純な二項対立的なものと考えられていました。
しかし、理想化された直線的な線形システムだけが世の中に存在するのではなく、現実は非線形であり、非線形システムを方程式で表わすことができるというのがカオス理論の根幹です。
つまり、その決定論的な構造を理解することによって、予測不可能と思われていた事象についても我々人間が予測・制御できるのではないかということが、万物の論理観を大きく変える現象としてカオスが注目されている理由なのです。
カオスはどこにでも見られる実在する自然現象であり、法則でありながら予測しがたい結果をもたらすため、安定であると同時に不安定であるといえます。世の中のランダムネス(でたらめさ)とアトラクタ(カオス特有の不規則なふるまいには、特定の隠れた秩序があり、それらの結果として得られる点を集めた独特なパターン)からカオスの中の秩序を導き出すことがカオス理論なのです。
【一部下記コンテンツより引用】
(■人間の世界観を変えるカオス その研究と応用の現在
合原 一幸(東京大学大学院 工学系研究科助教授)
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